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ニノ・カルミゼ 東京展
グルジアの作家カルミゼさんは、夫のザザ・ゴグアさんと共に大変な親日家でもあります。日本に永く滞在していましたが、現在は本国に戻り、年に1度のペースで来日、個展を開催しています。
彼女の作品を紹介するにあたり、まずグルジアについて少々知る必要があります。ソ連の崩壊と共に独立を果たしたグルジアは独自の文化を持つ国ではありながら複合的な要素を持っております。国の宗教はギリシャ正教の流れをくむグルジア正教です。キリスト教国でありながら、長い歴史の中で多くの文化の影響も自国のものとしています。ヒンカリという肉まんじゅうは、モンゴル帝国の遺品とも言えます。またこの国の暦にはグレゴリオ暦とともに十二支もあります。一方で永く支配されたイスラムの面影も数多く残っています。それは国立オペラ劇場の建築であり温泉の建物の様式でもあります。伝説では、王女メディアの生誕の地、ノアの方舟の降り立った土地とあります。また黒海の東に位置する南コーカサスの自然は四季の変化に富み、ワインのふるさととしても有名です。人々はロシア語と共に自国語のグルジア語とグルジア文字を用いています。この国は、シルクロードの中間地点であり、東洋と西洋の十字路というより古くから東洋と西洋のスクランブル交差点でもありました。
こうしたこの国の性格は、彼女の作品にも色濃く表れているように思います。具象的表現でありながら、装飾性や象徴性を備えた画面は見るものをさまざまな空想の世界に誘います。また、色彩の柔らかい変化も彼女の絵の特徴です。描かれた対象とその背景が渾然一体となっている作品も多く見られます。時には何が描かれているのかを忘れさせ、音楽のハーモニーのように色彩がさまざまな曲想を奏でます。複合的なイメージは彼女の生まれ育ったグルジアの特徴かも知れません。
作品のテーマは様々ですが、中心となるのは音楽を主題としたものでしょう。「ピアニスト」「カルテット」「ピアノ五重奏」「コンサート」などの作品は、具象でありながら非常に象徴性の高い作品です。彼女のテーマはそのほかに子ども、家族、花など身近で親密なものが多く見受けられます。またユーモアやトロンプルイユ(だまし絵)的な要素も見受けられます。例えば「ハイド&シーク(かくれんぼ)」という作品では画面の中に何人かの子どもがかくれています。
今回の個展では、このような多面的な彼女の絵画の性格のうち、どのような側面を見せてくれるか、または新しい面を見せてくれるのか楽しみです。個展会場では彼女の絵画への出会いと共に、彼女自身との対話も楽しんでいただけたらと思います。
ラッズギャラリー 兵野 豊子
ニノ・カルミゼ

経歴
1968
グルジア(旧ソ連邦)の首都トビリシに生まれる。
1986
グルジア国立芸術大学入学 絵画、建築美術、記念碑芸術を学ぶ。同大学院に在学。
1993
グルジア共和国「若い芸術家のためのコンクール」第一位受賞、一躍グルジアの新星として注目を集める。
1994
グルジア国立芸術大学教授
1998〜2006
大阪府河内長野市在住

現在はグルジア共和国トビリシ在住
個展
1993
「Tea Hose」個展
1994
「Galerie Orient」個展
1995
「Rustaveli Theater」個展
「グルジア国立音楽センター」個展
1996/97
「Galerie Karvasla」広くヨーロッパに知られる存在となる。
1998
5月ウィーン「Galerie Hyparts」(外国での初の個展)
2002
イタリア・ミラノの「Greci-Marino」出展
2000〜
毎年、大阪・神戸・京都で個展

夫は金沢アンサンブルオーケストラのエキストラ首席ヴィオラ奏者ザザ・ゴグア氏


ニノ・カルミゼ 東京展
ニノ・カルミゼ
2008年6月19日(木)〜25日(水)
12:00pm - 7:00pm
DOKA Contemporary Arts
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LADS Gallery
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